メッケル憩室とは？ | 内視鏡検査なら足立外科胃腸内科医院｜足立区青井・五反野の[外科、胃腸内科、内科]

●メッケル憩室とは？
簡単に言うと「小腸の壁が袋状になって外側に突き出たもの」です。
1809年にMeckel JFが初めて正確に記載したのでメッケル（Meckel）憩室と呼ばれるようになりました。
ヒトの胎児のごく初期に卵黄管という管が臍帯（へその緒）と小腸との間に一時的に発生しますが、
通常は胎生期第4周の終わりに完全閉鎖します。完全閉鎖に失敗し憩室状に遺残したものがメッケル憩室です。

発生部位は回腸の腸間膜対側で、成人では回盲弁より60～130cm、小児では40cm以内の部位で、長さは1～11cmで5cm程度が多いとされています。
粘膜は組織学的には小腸粘膜ですが、半数以上に胃粘膜や膵組織などの異所性組織の迷入が認められます。

●どんな症状があるのか？
メッケル憩室そのものは無症状のことが多いですが、
出血、下血、腸閉塞、腸重積、憩室炎、憩室穿孔など様々な合併症を生じます。
出血、下血の原因として迷入した胃粘膜から分泌された胃酸によって小腸に潰瘍ができ、そこから出血することがあります。
亡くなった方の解剖例の２％くらいの人にみられますが、大部分は無症状に経過し、症状が出るのは4%前後といわれています。

●診断と治療
憩室そのものは症状がないため診断は困難です。

健康診断のバリウム検査（胃透視）後に腹部レントゲンを撮った際に、回腸末端にバリウムの貯留を認め、偶然メッケル憩室を見つけることがあります。
また、胃酸を分泌する細胞が存在する場合は、アイソトープを用いた99m（テクネシウム）Tcシンチ検査で診断できます。
そのほか無線式のカプセル内視鏡検査と小腸内視鏡検査では出血源として憩室を視覚的に同定できることがあります。

治療は症状や合併症の程度により異なりますが、場合によっては手術が必要となることもあります。
腹痛で発症する場合には、虫垂炎や他の原因による腸閉塞などとの区別はかなり難しく、手術をして初めてメッケル憩室と診断されることもあります。

●まとめ
メッケル憩室は一般には問題を引き起こさない小さな器官ですが、時折炎症や出血などの問題を引き起こすことがあります。
症状が現れた場合は、迅速な診断と適切な治療が重要です。
定期的な健康診断や不調を感じた際は、専門家の診察を受けることをお勧めします。

当院院長は外科手術の経験も豊富で、メッケル憩室に対する治療経験もあります。
気になる点などある方はお気軽にご相談ください。

参考文献
・日本小児科学会ホームページ
http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/mekkel-keishitu

・Cywes S, Miller AJW: Embryology and anomalies of the intestine. In Bockus Gastroenterology, 5th ed. pp885-929, WB Saunders, Philadelphia, 1995

・Meckel JF. Manual of pathological anatomy [transla-tion]. E Henderson, London, 1938

・Rutherfold RB, Akers D : Meckel's diverticulum : A review of 148 pediatric patients, with special reference to the pattern of bleeding and to　mesodiverticu-lar vascular bands. Surgery 59: 618-626, 1966 4

・飯塚佳彦、上忠彦、堺勇二，他：メッケル憩室内翻症の1例。胃と腸 34：1078-1081，

・田中早苗，折田三，国米明，他：Meckel想室一本邦報告例44例の統計的観等を中心に。外科診46：818-826, 1971

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院長　飯田　修史

足立外科胃腸内科医院
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