RSウイルス感染症が増えています!!2021年6月24日 東京都福祉保健局から乳幼児を中心に流行するRSウイルス感染症が都内で急増しているとの報道発表がありました。* 令和3年第24週(6月14日~20日)において、都内264か所の定点医療機関(小児科)から報告された患者数は、850人(1定点当たり3.28人)で、平成15年の調査開始以来、最も高い値となっています。* 第1週から第24週までの報告では、患者の75%が2歳以下の小児でした。RSウイルスは通常9月頃から流行し、初春まで続くとされてきましたが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。ここ数年、夏以降に感染が広がっていましたが、2020年は年間を通して流行しませんでした。新型コロナウイルス対策でマスクをする人が多くなったことや、保育園が休園したことなどが影響したと考えられます。去年RSウイルス感染が広がらなかった結果、通常であれば免疫を獲得していた年齢の子どもたちの多くが免疫を持っていないため、今年は感染が急拡大しているのではないかと考えられています。参照:東京都感染情報センターHP内における定点報告疾病集計表https://survey.tokyo-eiken.go.jp/epidinfo/weeklyhc.do ●RSウイルス感染症とは?RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)を原因とする病気です。感染すると年齢を問わず、風邪などの症状を引き起こすウイルスです。 RSウイルスは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めると報告されており、より年長の小児においても気管支炎の10〜30%に関与していると考えられています。1歳までに50〜70%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するとされ、3歳までにすべての小児が抗体を獲得するとされています。●いつ流行るの?(流行期)9月頃から流行し、初春まで続くとされてきましたが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。ここ数年、夏以降に感染が広がっていましたが、2020年は年間を通して流行しませんでした。新型コロナウイルス対策でマスクをする人が多くなったことや、保育園が休園したことなどが影響したと考えられます。去年RSウイルス感染が広がらなかった結果、通常であれば免疫を獲得していた年齢の子どもたちの多くが免疫を持っていないため、ことしは感染が急拡大しているのではないかと考えられています。●どんな症状があるの?主な症状は発熱、咳、 鼻水、咽頭痛、頭痛、倦怠感(元気がない等)など、いわゆる「かぜ」に似た症状です。 多くの場合軽症で治まりますが、1歳未満、特に生後6か月未満の乳児や低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方の場合は、重症化しやすいとされるため注意が必要です。早めの受診や感染予防にこころがけてください。 ★注意しなければいけない症状は以下のとおりです。・急にぐったりする・熱が38度以上に上がる・顔色や唇の色が悪い・呼吸が浅く速くなる、呼吸の回数が極端に増えている・食事をとらなくなった(哺乳不良など)・息を吐くときに「ヒュー、ヒュー」「ゼー、ゼー」と音がする(喘鳴:ぜんめい)・無呼吸発作・痰が詰まるなどの様子が見られたときは、 早めに医療機関を受診しましょう。●どのようにして感染するの?(感染経路)患者のくしゃみや咳などでウイルスを含むしぶき(飛まつ)が空気中に放出され、それを吸い 込む、あるいは手指を介して接触することにより感染します。感染の多くは、この「飛沫感染」によると考えられ、ドアノブなどの環境表面についたウイルスへの接触により、鼻や口などの粘膜や傷口などを通して感染する「接触感染」も成立します。潜伏期間は2~8日(通常4~6日)とされています。 熱などの症状が消失しても、ウイルスが排出される期間(発症から1週間程度)は咳など により感染を広げることに注意が必要です。●どうやって診断するの?鼻粘膜のぬぐい液を使用して、15分程度の迅速診断が可能です。鼻の穴に細い綿棒を入れて検査します。ただし、RSウイルスの検査は、RSウイルス感染症が疑われる全ての患者さんに行う検査ではありません。1歳以上の患者さんに関しては重症化のリスクは低く、特別の治療法もないことから、治療方針を決定する上で、RSウイルス迅速検査で感染を特定する必要性はほとんどありません。●治療法は?RSウイルスに効果のある抗ウイルス薬はなく、ワクチンもありません。治療は症状に合わせた対症治療(症状をやわらげる治療)となります。重症化した場合には、酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理などが行われます。●予防法は?RSウイルスの基本的な予防方法は、日頃の手洗いうがいや、マスク着用、周囲の消毒になります。飛まつ感染や接触感染であることを考慮して感染を広げないことが大切です。 手洗いなど手指衛生にきちんと取り組むことや、咳やくしゃみをする時は、口と鼻をティ ッシュペーパー等で覆うなど、周りの方への感染防止をこころがけてください。 熱などの症状が消失しても、咳症状が見られる場合などは、感染防止の観点とともに、お子さんの体調に配慮し、登園・登校を見合わせることも検討してください。現在利用可能な予防方法としては、ヒト血清由来の抗RSV免疫グロブリンと、遺伝子組み換え技術を用いて作成された、RSウイルスの表面蛋白の一つであるF(Fusion)蛋白に対するモノクローナ ル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)が日本において2001年1月に承認されました。RSウイルス流行開始前から流行期の間、1回15mg/kgを1カ月毎に筋注することに より、予防効果が期待できます。日本小児科学会では、本製剤の適正な使用を目的として使用に 関するガイドラインを作成しており、適応として、早産児と慢性肺疾患を有する小児について投与を考慮すること、また、先天性心疾患を有する生後24カ月以下の乳幼児で、RSウイルス流行開始時に心疾患の治療を受けている者、重度の免疫不全状態の小児、RSウイルス院内感染事例で、適切な対策を実施しても制御できない場合などにおいては、根拠となるデータがないが使用を考慮してもよいとしています。参照:パリビズマブの適応(日本小児科学会雑誌106:1288, 2002)●RSウイルスにかかったら、いつから幼稚園、保育園は通園してよいか? 明確な基準はありません。 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症」では、 「咳などの症状が安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。」と記載されています。熱などの症状が消失しても、ウイルスが排出される期間(発症から1週間程度)は咳など により感染を広げる可能性があることから、咳症状が見られる場合などは、感染防止の観点とともに、お子さんの体調に配慮し、登園・登校を見合わせることも検討してください。施設の環境や事情もあるため、園・学校、かかりつけ医と相談してください。引き続き、 1.身体的距離の確保2.マスクの着用3.手洗いの実施や「3密(密集、密接、密閉)」を避けるに留意していきましょう。 参照東京都ホームページhttps://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/06/24/21.html国立感染症研究所ホームページhttps://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-15.html==============================院長 飯田 修史足立外科胃腸内科医院【外科・胃腸内科・内科・皮膚科】【五反野、青井のクリニック】東京都足立区青井2−24−803−3880−1191かかりたい、かかってよかったといわれるクリニックを目指します。https://www.adachi-ichou.com/https://www.youtube.com/watch?v=WPFDp2tsugo==============================
乳幼児を中心に流行するRSウイルス感染症が都内で急増しているとの報道発表がありました。
* 令和3年第24週(6月14日~20日)において、都内264か所の定点医療機関(小児科)から報告された患者数は、850人(1定点当たり3.28人)で、平成15年の調査開始以来、最も高い値となっています。
* 第1週から第24週までの報告では、患者の75%が2歳以下の小児でした。
新型コロナウイルス対策でマスクをする人が多くなったことや、保育園が休園したことなどが影響したと考えられます。
去年RSウイルス感染が広がらなかった結果、通常であれば免疫を獲得していた年齢の子どもたちの多くが免疫を持っていないため、今年は感染が急拡大しているのではないかと考えられています。
https://survey.tokyo-eiken.go.jp/epidinfo/weeklyhc.do
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)を原因とする病気です。
感染すると年齢を問わず、風邪などの症状を引き起こすウイルスです。
RSウイルスは乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%を占めると報告されており、より年長の小児においても気管支炎の10〜30%に関与していると考えられています。
1歳までに50〜70%以上、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するとされ、3歳までにすべての小児が抗体を獲得するとされています。
●いつ流行るの?(流行期)
9月頃から流行し、初春まで続くとされてきましたが、近年では夏季より流行が始まるようになってきています。
ここ数年、夏以降に感染が広がっていましたが、2020年は年間を通して流行しませんでした。
新型コロナウイルス対策でマスクをする人が多くなったことや、保育園が休園したことなどが影響したと考えられます。
去年RSウイルス感染が広がらなかった結果、通常であれば免疫を獲得していた年齢の子どもたちの多くが免疫を持っていないため、ことしは感染が急拡大しているのではないかと考えられています。
●どんな症状があるの?
主な症状は発熱、咳、 鼻水、咽頭痛、頭痛、倦怠感(元気がない等)など、いわゆる「かぜ」に似た症状です。
多くの場合軽症で治まりますが、1歳未満、特に生後6か月未満の乳児や低出生体重児、心疾患、肺疾患、免疫不全のある方の場合は、重症化しやすいとされるため注意が必要です。
早めの受診や感染予防にこころがけてください。
★注意しなければいけない症状は以下のとおりです。
・急にぐったりする
・熱が38度以上に上がる
・顔色や唇の色が悪い
・呼吸が浅く速くなる、呼吸の回数が極端に増えている
・食事をとらなくなった(哺乳不良など)
・息を吐くときに「ヒュー、ヒュー」「ゼー、ゼー」と音がする(喘鳴:ぜんめい)
・無呼吸発作
・痰が詰まる
などの様子が見られたときは、 早めに医療機関を受診しましょう。
●どのようにして感染するの?(感染経路)
患者のくしゃみや咳などでウイルスを含むしぶき(飛まつ)が空気中に放出され、それを吸い 込む、あるいは手指を介して接触することにより感染します。
感染の多くは、この「飛沫感染」によると考えられ、ドアノブなどの環境表面についたウイルスへの接触により、鼻や口などの粘膜や傷口などを通して感染する「接触感染」も成立します。
潜伏期間は2~8日(通常4~6日)とされています。
熱などの症状が消失しても、ウイルスが排出される期間(発症から1週間程度)は咳など により感染を広げることに注意が必要です。
●どうやって診断するの?
鼻粘膜のぬぐい液を使用して、15分程度の迅速診断が可能です。
鼻の穴に細い綿棒を入れて検査します。
ただし、RSウイルスの検査は、RSウイルス感染症が疑われる全ての患者さんに行う検査ではありません。
1歳以上の患者さんに関しては重症化のリスクは低く、特別の治療法もないことから、治療方針を決定する上で、RSウイルス迅速検査で感染を特定する必要性はほとんどありません。
●治療法は?
RSウイルスに効果のある抗ウイルス薬はなく、ワクチンもありません。
治療は症状に合わせた対症治療(症状をやわらげる治療)となります。
重症化した場合には、酸素投与、補液(点滴)、呼吸管理などが行われます。
●予防法は?
RSウイルスの基本的な予防方法は、日頃の手洗いうがいや、マスク着用、周囲の消毒になります。
飛まつ感染や接触感染であることを考慮して感染を広げないことが大切です。
手洗いなど手指衛生にきちんと取り組むことや、咳やくしゃみをする時は、口と鼻をティ ッシュペーパー等で覆うなど、周りの方への感染防止をこころがけてください。
熱などの症状が消失しても、咳症状が見られる場合などは、感染防止の観点とともに、お子さんの体調に配慮し、登園・登校を見合わせることも検討してください。
現在利用可能な予防方法としては、ヒト血清由来の抗RSV免疫グロブリンと、遺伝子組み換え技術を用いて作成された、RSウイルスの表面蛋白の一つであるF(Fusion)蛋白に対するモノクローナ ル抗体製剤であるパリビズマブ(Palivizumab)が日本において2001年1月に承認されました。
RSウイルス流行開始前から流行期の間、1回15mg/kgを1カ月毎に筋注することに より、予防効果が期待できます。
日本小児科学会では、本製剤の適正な使用を目的として使用に 関するガイドラインを作成しており、適応として、
早産児と慢性肺疾患を有する小児について投与を考慮すること、また、先天性心疾患を有する生後24カ月以下の乳幼児で、RSウイルス流行開始時に心疾患の治療を受けている者、重度の免疫不全状態の小児、RSウイルス院内感染事例で、適切な対策を実施しても制御できない場合などにおいては、根拠となるデータがないが使用を考慮してもよいとしています。
参照:パリビズマブの適応(日本小児科学会雑誌106:1288, 2002)
●RSウイルスにかかったら、いつから幼稚園、保育園は通園してよいか?
「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症」では、 「咳などの症状が安定した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが、手洗いを励行する。」と記載されています。
熱などの症状が消失しても、ウイルスが排出される期間(発症から1週間程度)は咳など により感染を広げる可能性があることから、咳症状が見られる場合などは、感染防止の観点とともに、お子さんの体調に配慮し、登園・登校を見合わせることも検討してください。
施設の環境や事情もあるため、園・学校、かかりつけ医と相談してください。
2.マスクの着用
3.手洗いの実施や「3密(密集、密接、密閉)」を避ける
東京都ホームページ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/06/24/21.html
国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/317-rs-intro.html
厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-15.html
院長 飯田 修史
足立外科胃腸内科医院
【外科・胃腸内科・内科・皮膚科】
【五反野、青井のクリニック】
東京都足立区青井2−24−8
03−3880−1191
かかりたい、かかってよかったといわれるクリニックを目指します。
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