帯状疱疹は水痘(みずぼうそう)が治った後も神経節に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)が、宿主の免疫低下などにより再活性化されて生じるウイルス感染症です。
VZVに初めて感染した場合、気道の粘膜や眼の粘膜からウイルスが侵入し、全身に水疱を形成する水痘を発症します。水痘が治った後もウイルスは神経節(三叉神経節または脊椎後根神経節)の神経細胞などにひっそりと感染を続け(潜伏感染)、加齢、ストレス、宿主の免疫低下などで再活性をきたし帯状疱疹を発症します。
VZVが潜伏していた神経支配領域(片側)に一致して痛みや知覚異常を伴う小さな水疱や赤みを帯びた小さな湿疹のようなもの(浮腫性紅斑、紅色丘疹など)が帯状に出現します。帯状疱疹に関連する痛みは急性期の疼痛と皮疹が治癒した後、3か月以上持続する帯状疱疹後神経痛(PHN:post-herpetic neuralgia)があります。
VZVが耳神経節などを障害し、末梢性顔面神経麻痺、時に聴力障害、めまいなどを認めるRamsay-Hunt症候群を生じることもあります
典型例では帯状の浮腫性紅斑、紅色丘疹などの臨床症状から診断は容易につきますが、皮疹や疼痛が軽い場合、単純ヘルペスやその他の疾患との鑑別が必要です。
血液での検査でVZV抗体価の上昇を認めれば診断は確定します(抗体価の上昇がみられない症例も存在します)。
治療の第1選択は抗ウイルス薬の全身投与で、できるだけ早期の投与が望まれます。早期に抗ウイルス薬を投与することにより、ウイルス増殖による皮疹の重症化と急性期疼痛を最小限に抑えることができます。
疼痛に対しては鎮痛薬、神経ブロック、副腎皮質ステロイド薬などを用います。帯状疱疹治療薬は発病初期から投与を始めるほど効果が期待できます。