慢性胃炎
慢性胃炎ってどんな病気?
胃の粘膜へ炎症細胞が浸潤することにより胃の粘膜(粘膜固有腺)が萎縮し、胃に腸に似た組織が発生する(腸上皮化生)過程の総称です。胃粘膜萎縮が進行するほど分化型胃癌の発生リスクが高まります。
どうしてなるの?
慢性胃炎のほとんどがピロリ菌(Helicobacter pylori)によるものです。そのほかの原因としては自己免疫によるもの、薬剤(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDsなど)によるもの、炎症性腸疾患や膠原病などの全身疾患に伴うものがあります。
薬剤服用歴、膠原病や炎症性腸疾患などの既往の有無が大事です。これは慢性胃炎に限ったことではないのですが、クリニックにかかる際はお薬手帳を忘れないようにしてください。また、問診票にも既往歴をしっかり記入していただきますようよろしくお願いいたします
どういった症状があるの?
胸やけ、上腹部痛、腹部不快感、悪心などです。左記のような症状を訴えるものの内視鏡検査などで原因が見つからないものを機能性ディスペプシアと総称しています。機能性ディスペプシアについては別項で説明しております。
こちらどんな検査をすればいいの?
血清ペプシノゲン値(PG)測定、バリウムによる検査(上部消化管造影X線)、胃カメラ(上部消化管内視鏡)などがあります。PG値を測定することにより胃粘膜の萎縮の有無を診断することができます。
しかしながら胃炎の原因を同定するためには胃カメラが必要です。胃カメラでは萎縮の進行度やひろがりを観察だけでなく、細胞をとることが可能です。採った細胞を顕微鏡で確認(病理組織所見)することにより原因を探ることができます。
どんな治療をするの?
症状がある場合には胃酸の分泌を抑える薬や胃粘膜を防御する薬、消化管運動機能調整薬、抗不安薬などを投与します。ピロリ菌感染胃炎に対しては胃粘膜萎縮の改善や腸上皮化生の進行を防ぐことにより胃癌の発症リスク低下を期待してのピロリ菌除菌治療が強く勧められます。
ピロリ菌の除菌については別項で説明しております。
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