・栄養療法腸管の安静と食事性アレルギー性抗原の除去を目的に行います。腸に負担をかける食物繊維と脂肪を取り除いたり、タンパク質を分子量の小さいアミノ酸にまで分解した栄養成分を補給します。鼻から通したチューブなどで腸に栄養剤を注入する経腸栄養療法が主ですが、点滴による中心静脈栄養が行われることもあります。
・薬物療法ステロイド、5-ASA製剤、抗TNFα抗体製剤、免疫調整薬などを使用し寛解導入、寛解維持を目指します。今までは徐々に治療を強めていく「step up治療」が主流でしたが、予後不良症例に対しては最初から抗TNFα抗体製剤を用いる「top down治療」も行われてきています。
免疫調節薬は効果発現までに2〜3か月かかり、骨髄抑制や嘔気といった副作用が出現することがあるので注意が必要です。抗TNFα抗体製剤を使用する際には必ず結核やB型肝炎ウイルス感染の有無の評価が必要となります。
・外科的治療穿孔、大量出血、改善しない腸閉塞、腹腔内膿瘍、狭窄・瘻孔形成などの症例には外科手術を検討します。決まった手術術式はなく、状況状況に応じて手術術式を考えます。病変部を切除してもほかの部位で再発がしばしば見られます。
狭窄病変に対しては内視鏡的バルーン拡張術(Endoscopic Balloon Dilatation : EBD)が選択されることもあります。
若い方で慢性の下痢、体重減少、難治性痔瘻、原因不明の発熱、腹痛が長く続いている方はクローン病の可能性がありますのでご相談ください。
「潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針」(平成27年度改訂版)が厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」より発行され、
http://ibdjapan.orgより入手可能となっています。
当院の院長は日本消化器病学会、日本外科学会および日本消化器外科学会の専門医資格をもっており、内科的治療のみならず外科的治療の知識も有しております。不安や疑問をそのままにせず、遠慮なくご相談ください。