花粉症はスギなどの花粉(抗原)が原因となって起こるアレルギー疾患の一つです。
患者数は年々増加しており、1998年と2008年で比較すると有病率1.5倍に増加しています。日本の花粉症患者数はスギ花粉症が圧倒的に多く、患者数は3,000万人以上と推測されています。若年成人のスギ花粉の感作率は50%以上との報告もあります。
スギ花粉症は冬の終わりから春にかけて、毎年、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどの症状で多くの人を悩ませています。
日本では、スギのほかにもヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約50種類の植物が花粉症を引き起こすとされています。
~季節による花粉の違い~
例年早ければ1月頃から春先にかけて、全国各地でスギやヒノキ、地域によってはシラカバの花粉が飛散し始めます。前年の雄花が育つ時期に猛暑などの気象条件が影響すると花粉が増えるといわれています。
2〜4月:スギ花粉などの樹木花粉
5〜7月:カモガヤなどのイネ科花粉
9〜11月:ブタクサなどのキク科花粉とイネ科花粉
花粉の直径は30μm前後のものが多く、ほとんどの花粉は鼻の粘膜と眼の結膜に捕捉されるため花粉症の症状は鼻と眼の症状が主となります。
鼻症状:くしゃみ、鼻みず(水性鼻漏)、鼻のかゆみ、鼻づまり(鼻閉)など。
眼症状:眼のかゆみ、結膜の充血・腫脹、流涙など。
~鼻づまりの正体~
鼻づまりは鼻みずが詰まっているわけではありません。鼻の粘膜が腫れて、空気の通り道が狭くなった状態です。そのため、鼻づまりの治療では鼻の粘膜の腫れを取ることが重要です。
鼻づまりがひどくなると、口呼吸となって本来の鼻の機能が損なわれるため、のどの乾燥、においや味がわからなくなる、咳が出る、よく眠れないなどの悪影響を及ぼします。
・薬物療法花粉症の治療に用いられている主な薬剤は、第2世代抗ヒスタミン薬やステロイドの他に、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2 薬、Th2サイトカイン阻害薬などがあります。
抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー薬は即効性に欠けるため、花粉飛散開始の1~2週間前からの服用が必要といわれています。最近では飲み薬の他に、貼るタイプの薬も開発されています。
ステロイド薬は即効性がありますが、反応しなければならないウイルスにも反応しづらくなるなどの副作用が出る可能性があるため、重症の場合などのどうしても必要な場合に使用します。
・減感作療法(免疫療法)治療用アレルゲンエキスを定期的に体内に投与することによってアレルゲンへの反応性を低下させる治療です。
減感作療法(免疫療法)の利点は、効果が長期間持続すること、自然経過(既感作・未発症例の発症,他アレルゲンへの感作,他のアレルギー性疾患の発症)に好影響を与えることですが、治療期間が長期にわたること(3年以上)や原因アレルゲンを体内に投与するためにアナフィラキシーショックなどの全身反応を生じる危険があることなどの短所もあります。
従来は花粉エキスを低い濃度から次第に高い濃度へと長期間にわたって皮下注射する方法が行われてきましたが、長期間にわたる注射やその危険性などから普及が進まず、簡便な方法として舌下免疫療法が開発されました。
治療効果は皮下免疫療法のほうが若干優れていますが、安全性の面では舌下免疫療法が優れています。また、皮下免疫療法はアレルゲンエキスを注射で投与するため医療機関での施行が必要であるのに対し、舌下免疫療法は初回服用時などを除いて自宅での治療が可能です。
現在、花粉症の舌下免疫療法用としてはスギ花粉症用エキスの使用が可能となっています。
具体的には、花粉エキスを舌の下に垂らして2分間保持した後、飲み込みます。
2週間で次第に濃度を上げていき、3週間目に維持量に達し、その後2~3年間継続します。
治療の開始時期が花粉非飛散期(7~11月)と決められています。
★くしゃみ、鼻みず、鼻のかゆみ、鼻づまり、眼のかゆみ、結膜の充血・腫脹などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
当院ではスギ花粉症に対する舌下免疫療法を受けることが可能です。
またスギ花粉症だけでなくダニアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法も行っております。お気軽にご相談ください。